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学習が楽しくなる授業、                   意欲を失う授業の展開とはSERVICE&PRODUCTS

PDFリンク 学習が楽しくなる授業、意欲を失う授業の展開とは

◇子どもたちが主体的に、自分への課題をもって取り組む授業とは?

○子どもたちだけで授業を展開する。
○子どもが自分で家庭学習を決める。
○みんなで考え教え合い、分からないが分かるようになる。
○間違えたところはみんなで教え合う。
○自分の考えを言える。
○自分の間違いや他人の間違いを認める。
○誰のために何のために何をどう学んでいるのかを確認する子どもたち。

こんな授業展開、学級の雰囲気がそうなると子どもたち一人一人の存在感がしっかりしてきますよね。
子どもがここにいて楽しいと思う授業、学級、学校になるには、主役が子どもたちなんだということです。


○子どもは、本来、勉強すること、学ぶことは好きなんですね。

小学校の一年生の時には、キラキラと目を輝かせながら、いろいろなことに興味を持ち、いっぱい質問をしてきます。そして、学校に期待感をもって登校してきます。しかし、そのうち目から輝きが薄れ、興味関心を示さなくなってくる子どもが出てきます。

子どもは、知りたいことがあると自分から知ろうと動きます。そして、失敗を体験しながら自分なりの解決方法をいろいろと試します。できないことができたり、分からないことが少しでも分かってくると喜びを感じて、とても集中します。それが楽しいのでしょう。

友達との意見が違ったりしてくると、何故そうなのかを一生懸命説明します。それが自分が体験した内容であれば、相手に分かってもらえなかったりすると、わかってもらおうとする方法を模索していきます。そこで、相手に伝えることの難しさ等も学んでいき、自分の幅も広げていきます。そうなると学んでいくことがとても楽しくなってくるんですね。

私は、今までに、私が教えることなく「自分たちで学習を進めていく子どもたち。」「宿題を自分で作ってやってくる子どもたち。」「クラスで問題の解き方について、討論会を行う子どもたち。」そんなとても主体的に活動する子どもたちを多く担任してきました。

それとは反対に、学習に対する意欲を失ったり、自信を失ったり、なんとなく授業に参加している子どもたちとも多く接してきました。

しかし、やる気を失っていた子どもたちも、親や教師が子どもに対する見方を変えるだけで、俄然、力を発揮する体験をしてきました。


○では何故、学ぶ事への意欲を無くし、自分を認められなくなるのでしょう?

子どもがやる気を失うのは、子どもの考えや思いを親や教師が受け取らず、大人の好み都合、世間体で正してしまうからだと思います。

あるいは型にはめて管理しようとしてきたこともあると思います。
 
一言で言うと、子どものやる気を奪っているのは、
 親、教師の承認欲求が子どもをダメにしている と言うことです。

○親や教師の価値観を押しつけていませんか?

親や教師は、この子に力を付けさせたいと願い、いろいろな言葉かけをしたり環境を整えたりしますよね。
しかし、それが子どもにとってあまり良い影響を与えているとは言えないものもあるのです。

「今、勉強しておかないと後で困るわよ。」
「これだけは、覚えとかないと。これだけは分からないとあなたが困るでしょう。」
「勉強が出来るようになるためには○○時間勉強しなさい。」等

これは、ほんの一例ですが
誰のために言っているのでしょうか? 本当に子どもの為なのでしょうか。
よく考えてみると
これは、親、教師の価値観を子どもに押しつけているのではないでしょうか。
つまり、こう言っていることが自分が子どもをきちんと教育していると勘違いしているところはありませんか?

結果にばかり注目をして、教科内容の教え込み中心で、できなければ
「頑張れ」「何故分からないの」「こんなに教えたのに」「何度言ったら分かるの」等の言葉をかけていることは多くありませんか。
人は、誰でも間違えます。結果のみを評価されて出来なかったことを責めてもやる気は起こるどころかあきらめが生まれます。
この言葉の根底には、よく考えてみると親や教師自身が、社会通念の中での世間体、昔からそうなっているからという固定観念、子どもの成績(結果)が良ければ、まわりからきちんと教育していると思われたい「承認欲求」から来ているものも多くあるのではないでしょうか。


○子どもの取り組みのプロセスを評価しないで結果を評価してしまう。

結果に目を向けて評価するよりも子どもが取り組むプロセスを評価しましょう。
子どもは、たとえ結果がうまくいかなくてもその取り組んだ姿勢や様子(プロセス)を認め評価することで、やる気が出たり主体的に行動するようになります。
そして、自信を持ちます。
結果ばかり評価していたり、他の子どもと比べたりしていると、子どもは自分を否定するようになり、やる気も起こらなくなります。
親や教師は、子どもの最大の味方なのです。どんなに出来なくても「あなたは、あなた」一人の
人間として存在を認め、生きていく楽しさや喜びを味わわせていく存在なのです。

算数などでの解き方にも、子どもなりの考え方があります。しかし、我々教師は、 │
とかく教える解き方と違うとついつい教えてしまいます。その前に、子どもの考え │
をじっくりと聞き、認めていくことが大切だと思います。その上で、どこがうまくいかないのかをしっかりと考えていくと子どもたちは納得して、調べていくことが面白いと考えるようになり、あきらめない態度も育ってきます。
それは、教師や大人が全てしなくても、クラスの子どもたちの力を借りてグループ学習などで育てていくこともできます。
しかし、間違いをすぐに正して、正解を教え込むようなことをしていると、クラス全体にも間違いはいけないことと思わせる要因にもなっていて、思考をやめてしまう子どもも出てくるのではないかと思うのです。
子どもの取り組み(プロセス)をしっかりと見極め、認めて評価していくことで
「自分で考える能力」、「まわりを見る力」、「乗り越えていく力」、「先を見通す力」、「探求する力」を育んでいくのです。

親や教師が「子どもって、可能性がたくさんあるんだ」という見方をもてば、クラスの子どもたちの様子も主体的な活動へと変わってきますよ。
○教師の教え方は千差万別、持っている力を磨きましょう。

各教師の授業展開は、それぞれ違います。違って良いと私は思います。しかし、今まで私が経験してきた研究授業や教え方については、マニュアルを作ったり、効率的に一斉に学習する方法論を研究する姿を多く目にしてきました。それは、一体誰のための研究なのか何の為の研究なのか疑問に思うことも多々ありました。

子ども一人一人の疑問や思いに、手法を統一して何の解決になるのだろうかと。
一人一人の教師の力もそれぞれが違ったものを持っています。その一人一人の教師の力を発揮していく為に、統一すべき所は、教師のための便利なツールではなく、子どもを活かす為の根底にある「ものの見方や考え方」を研究することではないのかなと思います。

教師が「子どものへの見方・考え方」を変えると、その先生が持っている能力が最大限に生きてくる体験も数多くしました。教師の意識が変わると、心が荒廃していた学級の子どもたちが本来持っている力を取り戻し、キラキラと輝く例も見てきました。

ある担任の先生が、効率よく子どもを管理するツールや学習形態から脱却し、まわりの世間の常識に囚われず、本当に大切なことは何かという研究をはじめました。そうすると、子どもたちの失った意欲が希望へと夢へと動き出しました。そして、教師も自分を信じ本来の力を発揮して、様々な取り組み方を編み出し、とても輝いてはつらつとしてきました。さらに、どんな状態のクラスにもチャレンジするとても前向きな姿勢へと変わりました。
教師が子どもの特性を活かそうと自分を活かす事によって、クラスの子どもたち全体を活かすことが出来た経験でした。(相手も自分も活かす行為)


やる気の出る授業
・子ども一人一人が主役
・子どもの考えが反映できる時間
・それぞれの課題について、みんなが考えてみる時間
・違った意見について、どこがどう違うのかしっかりとやり取りする時間
・とにかく子どもにまかせてみる時間
・少しでも出来るようになる事が楽しめる時間
・失敗してもそれを次に繋げていこうとするクラスの取り組み
・何故、間違ったかをみんなで検証する時間
・わかりやすく説明することの難しさを味わって、なんとかみんなに伝えようとする時間
・教科を教えるのではなく、教科の持つ特性やおもしろさを伝える。感じ取らせる。
・宿題の量や内容は、自分で決める。分からない子は先生と相談してやる気が生まれる方法をとる。

◇とにかく子ども一人一人が授業中動きがある時間・・・ええ! もう終わったのと言える時間

こんな時間だと、勉強が得意な子も苦手な子も一緒になって取り組んでいく。その時間で解決しなくても、主体的な態度や取り組みは続く。クラスの一人一人がとても大切な存在になってくる。
そのためには、教師は一人一人の動きや変化をしっかりと見定める必要がある。


やる気を失う授業
・講義式の教科書を教える一斉授業。
・問題ばかりやって、個人で訂正をさせる授業。
・型にはまって、大切なところへ線をひいて読み取る授業。
・読み方のこつを示さないで、何度も繰り返し一人で練習させる朗読。
 (読み方もおもしろくなるコツがあるのになあ〜)
・分からなくて嫌で嫌でたまらないのに、たくさんの問題を解かせたり、宿題を大量に出すこと。
・やりたくないことを仕方なくやっても頭には入らない。諦めが生まれる。
・何のためにやっているのか分からない授業。
・教科の楽しさや魅力を伝え切れていない授業。

私は、みなさんからどうやったらクラスの子どもが明るくなり、授業が楽しくなるのかと聞かれることは多いです。しかし、人がやったことをまねしても先行きうまくいかないと思います。
根底にあるのは、子ども一人一人をどう活かすのかという考えや物事の見方がなければ、教師自身が持っている力も発揮できないし、持ち味も活かすことが出来ません。
「子どもは一人の人間であって、自分の人生を自由に選択する権限(権利)」があるんだという見方を持って、その子どもを成長させるために、教師が研究すれば、教師自身の引き出しの中身も増えるし、自分自身を最大限に活かすことができ、その教師にしかできない能力も身につくはずです。

そういう面では、教師にとって、教育現場というものは、とてつもなく自己成長できる場なんです。